河井孝仁のシティプロモーション日記とか

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地域魅力のパッケージ化と包「装」 -『広報会議』2012年11月号

 9月15日から来年の2月28日まで「西宮・まちを旅する博覧会2012(西宮まちたび博2012)」が開かれています。兵庫県西宮市と商工会議所、観光協会などをメンバーとする西宮まち旅博覧会実行委員会が主催しています。ガイド付きツアー“西宮まちあるき”や、体験型プログラム“西宮まちなか体験”等によって構成されています。“西宮まちあるき”には「国際精神に基づく教育の聖地 神戸女学院を体感する!」、“西宮まちあるき”には「フードライターと学ぶ『BAR THE TIME』カクテル教室」などのコースがあります。

 9月3日付の日経流通新聞によれば「計90コースあり、9月には酒造会社が並ぶ酒蔵通りを光で演出する『光の宴』も開催、関連事業を含め期間中に10万人の来客を見込む」とのこと。ここで注目するのは90コースという数。昨年度の「西宮まちたび博プレ・みや」でも41コースが行われたようですが、今年は倍増以上となっています。

 西宮と言えば、甲子園や清酒、苦楽園などの高級住宅地が思い浮かびますが、市外の人間にとって90もの魅力はすぐには数えあげられないでしょう。市民にも90の魅力を簡単にあげられる人は少ないと思います。

 こうした、多くのコースを地域の魅力として訴求する先行事例に長崎さるくがあります。2006年に行われた「長崎さるく博06」は、従来は必ずしも広く知られていなかった長崎の魅力を掘り出しました。

 そのことが評価されて、2007年から特製マップを手に自由に歩く“長崎遊さるく”、さるくガイドの説明を聞きながら歩く“長崎通さるく”、専門家による講座や体験が可能な“長崎学さるく”“長崎食さるく”などが実施されています。2007年度には“通さるく”だけで2万人を越える参加者がありました。9月4日に確認した長崎さるくのwebページによれば“遊さるく”で45、通年の“通さるく”で29のコース、さらに9月から12月の期間限定“通さるく”でも5つのコースが設定されています。

 こうして、西宮や長崎の事例を示すと「もともと魅力の多いまちはいいけれど、私たちの地域はそうではない」という言葉が出てくることがあります。

 ここで必要なことは「私たちの地域の魅力はこれこれだ」という思いこみをいったん捨てることです。「この地域の魅力は何ですか?」と問われたときに、「自然」とか「人が優しい」とか「温泉」とか、B級グルメに○○があるとか、あるいは「何にもない」と紋切り型に言うことをやめてみましょう。

 「去年、あの坂の上から見た夕焼けが綺麗だった」「あの路地におもしろい石像があった」「この焼きそばはこんな思いの人々が作っている」というように、個人の経験としてゼロから地域の魅力を考えてみる。各個人がそうした個人的具体的な地域魅力を50、100述べる。そのうえで、多くの人々と意見を交わし、それらを重ね合わせていく。必要に応じ地域の地形や歴史や産物などの専門家を活用して、魅力としての確認を行う。そのうえで、改めて取捨選択し磨きをかけた個人的具体的な魅力をパッケージしてコースという形にする。さらに、それらのコースがどのような年齢、性別、地域、関心領域の人にとって魅力的かを考える。

 そうすることで、41の、74の、90という数の魅力のパッケージがコースとして、お仕着せではない、地域に関わる人々それぞれの自分事になって、できあがるはずだと考えます。そうした魅力のパッケージであれば、ガイドになって案内したいという気持ちにもなるはずです。

 8月に福島県の飯坂温泉に出かけました。福島市の北部に位置し、奥の細道での松尾芭蕉の訪問など歴史のある温泉です。その日、飯坂温泉に居られるのは3時間程度でした。

 福島駅から福島交通飯坂線に乗車し20分余りをかけて飯坂温泉駅に。駅構内では電動レンタサイクルを貸し出し、駅のすぐ脇には芭蕉の像も建っています。私は駅前の観光案内所に伺い「ここに3時間ほど居られるのですが、どのようにすると飯坂温泉をいちばん楽しめますか」と尋ねてみました。

 観光案内所のカウンターに来られた職員の方は、いったん他の職員のいる後方を振り向きましたが、結局「ここにマップがあります」と飯坂温泉の地図「いいざか散策マップ」を私に渡してくれました。地図には旅館、共同浴場、足湯、名所、食事ができる場所などが描かれ、写真も添えられています。しばらく地図を見ていたのですが、観光案内所の方からは特に言葉もなかったので、地図を持って涼しい案内所から日盛りの街に出ました。といっても、どうしたらいいのかわかりません。

 駅に戻り、エアコンの効いている待合室に座ります。マップを見ながら今日のコースを考えました。昼も近いので、まず食事を。昼間から開店している店はあまりなく、なかなか見つかりません。駅の近くに「かつ丼の店十綱食堂」という表示を見つけました。ちょっと食べたいものとは違いますが、わざわざ「かつ丼の店」というのであれば美味しいのではないか地図に印を付けます。

 次は、とマップの表裏をためつすがめつすると「おすすめぶらりコース」がありました。案内所では特に「おすすめ」はしてくれませんでしたが、これがいいかなと確認します。まず松尾芭蕉の足跡を巡るコース。最初は医王寺がスタートです。しかし医王寺が地図に見つかりません。確認すると別の差し込み地図がありました。飯坂線の電車で二つ先の駅まで戻らなくてはいけません。駅を降りてからもずいぶん歩くように見えました。「ぶらり」という印象ではありません。あとは駅前の芭蕉像、鯖湖湯、芭蕉の碑となっています。医王寺を諦めると、鯖湖湯で2時間以上入浴しないと3時間にはなりそうもないと思われました。

 飯坂温泉の明治時代にタイムスリップというコースもあります。最初は十綱橋、土木遺産となっています。ただ、十綱橋そのものの紹介はマップにはなく、なぜ土木遺産なのか不明です。コースでは足湯の「あ~しあわせの湯」と「ちゃんこちゃんこの湯」にも回ることになっています。しかし、なぜ、この足湯が明治時代と関わるのかがわかりません。

 仕方がないので、なんとなく地図に印を付けていき、それをぐるっと回ることにしました。十綱食堂のかつ丼は美味しく、十綱橋から離れたところで伊達一という橋建設に功績のあった方の碑も見つけました。伊達一は最後には身を投げ人柱になるという話の主人公であることもわかり、強い印象を受けました。「【明治時代】にタイムスリップ」というコースのポイントになっていた旧堀切邸は【江戸期】の大庄屋でした。明治の建物も残っていることを知ることができ、再整備が進み、管理者の方の丁寧な対応もいただきました。

 ここまでの飯坂温泉での記録を読んで、どのように思われたでしょうか…。
 飯坂温泉の旅館は老朽化が進んでいるものもあり、廃業した旅館がそのままになっている様子も見られました。しかし、たくさんの魅力も十分にあることがわかります。課題はパッケージ化です。旅行代理店の送客に任せっきりにしてしまうのではなく、散策マップをつくったことは高く評価できます。そのうえで、その魅力をどのように「包み」、多様な期待を持った顧客にあわせて、どのように「包『装』」して渡してあげるのか。これは飯坂温泉だけの課題ではありません。

 それぞれの地域でどのように魅力を掘り出し、パッケージし、包「装」しているか、改めて考えることが必要なのではないか。西宮まちたび博2012を知り、飯坂温泉を訪ねて、そうしたことを思っています。
  1. 2012/12/01(土) 11:54:29|
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河井孝仁

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自著(単著・共編著・執筆分担)

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