河井孝仁のシティプロモーション日記とか

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名古屋地域プロモーションプロジェクト・ミンナゴ-『広報会議』2012年5月号

 ミンナゴを知っていますか? 公式webページによれば、ミンナゴとは“みんなでつくる名古屋ブランド”をキャッチフレーズに、市民参加による名古屋の都市魅力のPRと観光客の誘致を図ることを目的としたプロジェクトです。

 私も、このミンナゴプロジェクトで専門家ボードの一人という役割を持っていました。「市民参加による名古屋の都市魅力のPRと観光客の誘致」というと、何となくしかつめらしくて、ぴんとこないのですが、もうちょっと私なりに噛みくだくと「名古屋の人に名古屋のことを知ってもらい好きになってもらい、おたがいどうしで、また名古屋以外の人に、名古屋をオススメすることができるようになるといいなということを目標にしたプロジェクト」ではないかと思っています。

 名古屋市がプロポーザル方式によって選定した(株)電通中部支社が企画者です。私は、このプロポーザルによる選定の際も、選定委員の一人として関わりました。ミンナゴのここまでのかたちは、プロポーザルの時点からは大きく進化した内容になっているなという印象もあります。委託元の名古屋市や関係者の皆さんとの意見交換が進化の理由の一つだろうと考えています。

 で、このミンナゴで動き、会い、書き、走っているのは学生たち。名古屋大学、名古屋市立大学、南山大学などの女子学生、男子学生が名古屋のいろいろな場所に出向き、いろいろな人に会い、webサイトやFacebookに多くの記事を書き、イベント運営に走り回っていました。

 ミンナゴを地域プロモーションという視点から見たときに興味深い点に「ネットワーク先行(並行)型」であることがあげられるのではないかと思っています。地域プロモーションを考えようとする際、既に有名であるものを積極的に情報発信するというパタンもありえます。名古屋でいえば壮麗な名古屋城のある都市、おいしい「ひつまぶし」が食べられる都市、道路・地下鉄をはじめとして整ったインフラある都市として、地域外へ、それぞれの魅力に応じたターゲットを設定し、必要に応じ付加価値を含めて訴求する方法です。あえていえば「コンテンツ先行型」といってもいいかもしれません。

 これに対し、ミンナゴの「ネットワーク先行(並行)型」とは、人とつながることを、最初のきっかけとして名古屋ブランドを考えようというものです。そうした行動のなかで、魅力あるヒト・コト・モノを見つけ、創り、紹介していこうという方向性が見られます。

 今までは必ずしも魅力として考えられてこなかった名古屋のオモシロイモノ、ステキナモノ、ヒカレルモノを見つける。そのために名古屋で著名なブロガー「はあちゅうさん」をはじめ多くの人にあったり、名駅市場見学ツアーを体験したり、26.4キロある地下鉄名城線の路線を自転車でひたすら走り興味深いものを探し出したりしています。インタビューのシリーズ名のひとつに「観光施設『中の人』」があることも、観光施設の紹介のためにインタビューをするのではなく、そのなかで働く人々に焦点をあて、お話を聞き、学生としての意見も述べるというネットワーク先行(並行)の姿勢が明らかです。

 webページに書かれている記事を読んでいくなかでも、ミンナゴの学生メンバー自身が、名古屋にあらためて気づき、愛着を持っていく様子もよくわかります。

 ミンナゴプロジェクトでは「ブランドブック」をつくることになっています。この文章が掲載された号が発行されるときには既にできているかもしれません。ブランドブックといえば、それこそ、名古屋に関わる「差別的優位性を持ち、評判が高く、信頼のある」モノを紹介する冊子となることが予想されます。しかし、現在の計画では、名古屋のコンテンツ紹介というより名古屋を発見し訴求しようとして動きまわるミンナゴの活動紹介になりそうです。

 ミンナゴの活動自体が名古屋におけるブランドになるという宣言なのでしょうか。いや、先に述べたようにミンナゴのメンバーが出会った人・見つけたもの・気づいた場所がブランド化していく可能性を、話を聞いた人・見つけた人・気づいた人という主体であるミンナゴメンバーを経由して紹介することがブランドブックの意義だということなのではないでしょうか。

 客体だけを提示するのではなく、主体を含めて訴求していく。それもまた「ネットワーク先行(並行)型」ならでは、ということもできるでしょう。言い方を変えれば、ネットワーク先行(並行)型としての地域プロモーションであるミンナゴのミーム(文化の伝達や複製の基本単位)が、さまざまに伝わっていくしかけとしてブランドブックを創っていこうとしているのかもしれません。

 さらに、ミンナゴがカンナゴ(観光名古屋)、ヒトナゴ(人と名古屋)、マチナゴ(名古屋という街の課題解決とイベント)、さらに、ジョシナゴ(女子から見た名古屋、女子が好きな名古屋づくり)、ゼミナゴ(大人と若者の連携)などにネットワークしつつ分派していく(いこうとする)成長形式も面白いと思います。その際にもミンナゴ・ミームを伝搬させる船としてのしかけは必要になるでしょう。

 多様な形の地域プロモーションがありえます。私はそのなかでも、ミンナゴによって示されたようなネットワーク先行(並行)型の地域プロモーションに注目したいと考えています。

 先日、名古屋観光コンベンションビューロー理事長と意見交換をさせていただきました。その際に、名古屋「観光」の発展について、従来のように地域外の方に有名観光地を見てまわってもらって終わりということではなく、市民による名古屋の魅力認識が先だつ必要があること、人の魅力や物語をきっかけとした交流促進に意味があること、そのためにソーシャルメディアもツールとして有効であることなどについて議論することができました。

 こうした考えに立つのであれば、ミンナゴの活動がまさにモノよりヒトに注目したプロモーションだったこと、ミンナゴのような学生を活用したプロジェクトが十分な方向性の提示やマネジメント支援を受けることによって、名古屋の新たな魅力の発見、形成、編集ができること、それによって学生たち自身が新たなメディアとなっていくことへの注目が必要になります。

 しかし、名古屋に関わる人々の持続的な幸せのために地域プロモーションを必要とする際に、こうした活動が一過性の学生の思い出づくりにとどまることは歓迎できるものではないでしょう。そうならないためには、ミンナゴが名古屋にとって持続性のあるリソースになっていくことが重要だと思っています。例えば、ミンナゴが名古屋を基礎にしたソーシャルビジネスとして、緩やかなネットワークを維持しつつもコアな部分は起業していくというような可能性もあるのではないかと思っています。

 ミンナゴのメンバーの多くが年とともに流れ、変わっていくことも必要です。そのうえで、活動をマネジメントする役割がミンナゴ内部で、あるいは外部の支援によって継続的に果たされていくことが必要になるでしょう。先の名古屋観光コンベンションビューロー理事長との意見交換は、そのような思いをより強くする機会となりました。ミンナゴの今後に期待したいと思っています。
  1. 2012/06/01(金) 12:44:11|
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河井孝仁

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