河井孝仁のシティプロモーション日記とか

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東日本大震災-自治体地域外への避難者と地域情報(2)-『広報会議』2011年12月号

 前号から、東日本大震災に関わり、特に自治体地域外へ避難された方への情報提供及びそうした皆さんの意見の汲み上げについて、事例をもとに考えています。前号末尾では今号においてインターネットを利用した情報提供について述べたいと書きましたが、この間、NTTドコモ・モバイル社会研究所、福岡県北九州市、京都市NPOセンターなどへの取材に伺わせていただいたので、それぞれの皆さんからお聞きしたことなどを中心に、必ずしもインターネットの利用にこだわらず考えたことを記したいと思います。

 NTTドコモ・モバイル社会研究所では、独立行政法人防災科学技術研究所と連携して行った、高齢者を中心とする被災者の皆さんによるタブレット端末を利用した映像制作の事業について伺いました。この事業は東京工業大学学生の皆さんの支援も得つつ行われたものです。この事業は、被災された方が、タブレット端末の動画記録機能を利用し、被災後の地域を撮影し、あるいは被災前の地域の写真を組み合わせるなどして作品を制作したものです。

 福島市でも、避難所となっているあづま総合体育館で「コドモノエガクマチ」ワークショップとして、体育館に避難してきている小学生を中心に未来の街の模型が作られています。5月15日に、Creative for Humanityという団体が、(財)福島県都市公園・緑化協会、南相馬市のもとまつりまちづくりラボ、福島大学及び日本大学の学生ボランティアなどの皆さんの協力を得て実施された取り組みです。ここでは、子どもたちが思い思いに自分のつくりたい街や家をつくり、それらが一つの大きなまちになりました。

 こうした取り組みは、行政広報・広聴、地域外へ避難された方への情報提供や意見の汲み上げとは関係の薄い内容に思われるかもしれません。しかし、被災された方の意見や思い、具体的なニーズというより、復興に向けた思いを汲み上げていくに際しては、重要なヒントになる取り組みだと考えています。

 被災者の意見を汲み上げる、あるいは広聴すると言うと、どうしても、パブリックコメントのような文章を中心とした形式がイメージされると思います。しかし、そうした形ではなく、より手触りのある形で思いを汲み上げる方法として、専門家等の支援を得つつ、被災された方、避難している方に映像や模型などの作品を制作していただくことは意味のある取り組みだと考えます。

 地域内の被災者・避難者だけではなく、地域外への避難者が持つ思いを汲み上げていく場合にも、こうしたクリエィティブを活用することは意義を持つと思います。

 例えば、地域外に避難した方々に、インターネットなどを利用して作品を視聴、確認してもらい、そこから意見を汲み上げていくということも考えられるでしょう。あるいは、インターネットの持つ双方向性・多方向性を利用して、インターネットを通じた共同作業として作品を創ることも考えられるかもしれません。

 このようにして制作されたそれぞれの作品にも一定の意味があることは確かです。一方で、それを行政広報・広聴という視点から見るなら、一つ一つの作品は、被災者・避難者の思いを誘発させるツールと考えることもできます。一冊の報告書からは誘発されにくい被災者・避難者の思いが、同じ被災者・避難者の制作した手触り感のある、一望できる作品によって誘発され、多彩な発想が生まれ、多様な意見の発信を得ることが可能になると考えます。

 クリエィティブを行政広報・広聴につなげる発想は突飛なものではありません。2003年にスタートした東京都三鷹市での「丸池第二期ワークショップ」では、周辺小学校を中心に延べ250人の小・中学生も参加し、公園の模型をともに作りながら、ほしい公園のプランを考えていきました。他にも、こうした模型を利用したワークショップはいくつも行われています。

 広聴という発想をより柔軟に捉え、関与する皆さんの意見を汲み上げる手法と考えれば、こうしたクリエィティブを活用するありかたを積極的に評価することが可能だと考えます。

 しかし、クリエィティブを活用するに際し、「作品を創ったね」で終わってしまっては、思いの汲み上げにはつながりにくいでしょう。それらの作品、さらに作品が制作されていく過程を注意深く読み取り、さらに複数の作品や取り組みを、被災者・避難者の復興への思いとして編集していく仕掛けや主体が必要です。

 その主体として考えられるものに、行政も適切に関与しつつ、地域団体や商工団体、地域のインタミディアリ(中間支援型)NPOが活躍することで形成される、災害時の情報保障をミッションとした連携体があり得ると思います。その萌芽として考えられるものに、「絆」プロジェクト北九州会議や、京都災害ボランティア支援センターがあります。これらはいずれも災害時の情報保障を主なミッションとして立ち上げられたものではありません。しかし、その機能に避難者の思いの組み上げを含めた災害時の情報保障を包含することは十分に可能であり、意義を持ち、既に一定の機能を果たしていると考えることができます。

 現状では、「絆」プロジェクト北九州会議も京都災害ボランティア支援センターも、被災者・避難者への情報保障という面では、避難先である北九州や京都という地域についての情報提供、避難元である被災地からの情報の伝達、避難者の生活ニーズの把握が中心になっています。そうしたなかで、今後、避難元である被災地への帰宅を希望する方が少なからずいらっしゃる一方で避難期間が長期化し、被災地の復興へのフェーズが進展していくことが考えられます。そうなったときに、避難者の被災地復興への思いや具体的な方向への意見をどのように汲み上げるのかが課題になってくるはずです。

 「絆」プロジェクト北九州会議では、事務局の北九州市いのちをつなぐネットワーク推進課「絆」プロジェクト担当が、避難者向けの広報紙「絆だより」を、市職員としては数少ない東北地方の出身者の方が中心になって制作しています。北九州市にいらっしゃったことへのご挨拶、就職の相談、今月の耳寄り情報としての支援サービス、交流イベントの記録、「絆」プロジェクトの伴走型支援の紹介、北九州市の観光地などが内容になっています。

 京都災害ボランティア支援センターでは、登録した避難者に対しメールマガジンを送っています。一律の内容ではなく、登録時に選んだ情報区分に応じた内容とするきめ細かい対応をとっています。さらに「県人のつどいin京都」を開催し、岩手県、宮城県、福島県など各県ごとに集まり、各県の大阪事務所から被災地の状況を聞いたり、互いに近況を交換したりする機会を作っています。

 それぞれ、「絆」プロジェクト北九州会議では事務局として、京都災害ボランティア支援センターではメンバーとして行政が、とりわけ京都では京都府・京都市の両者が関与しています。このことは連携組織への信頼性の付与という点で大きな意味を持っています。

 これらの組織が、今後、今までの活動をさらに発展させ、避難者の避難元被災地の復興に向けた思いや意見の汲み上げを行っていこうとするとき、先に挙げたクリエィティブの力を含め、どのような役割を果たすことが出来るのか。納得のある復興にとって重要な意味を持っていると考えています。
  1. 2012/01/01(日) 14:30:38|
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河井孝仁

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