河井孝仁のシティプロモーション日記とか

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東日本大震災-自治体地域外への避難者と地域情報(1)-『広報会議』2011年11月号

 東日本大震災の被災地となった福島市及び仙台市を伺ってきました。福島市役所広報広聴課、企画経営課、ふくしまNPO・市民活動団体プロジェクト、福島県広報課、河北新報メディア局、夕刊編集部の皆さんには震災からの復旧・復興にむけて忙しいなかをご対応いただき、とても感謝しています。

 今回、私が福島市及び仙台市を訪問したのは、行政広報の視点から大きく二つの点、実は同じ幹から分かれた二つの枝となる課題を明らかにしたいと考えたためです。

 一つは、東日本大震災によって被災し、避難を余儀なくされた皆さんが必要とする情報を自治体がどのように提供できたのか、そしてもう一つは、同じく避難された皆さんの思いを自治体としてどのように汲みあげることができるのかという点です。

 これらは、今回のヒアリング等だけで明らかにはなりません。今後も引き続き調査を行っていきたいと考えます。ここでは、僅かな知見から考えることのできたことだけを申し上げたいと思っています。

 東日本大震災では全国各地に避難された方がきわめて多数に上ることが指摘されています。総務省でも、避難者が避難先の市町村へ自身の情報を提供することで、避難前に住んでいた都道府県や市町村から見舞金等の各種給付の連絡、国民健康保険証の再発行、税や保険料の減免・猶予・期限延長等の通知などが届く「全国避難者情報システム」を構築しました。

 しかし、避難者にとって、こうした個別かつ限定された行政サービス情報だけでは、避難元の自治体のありようを知ることは困難でしょう。転出ではなく住民登録を残したままの避難であれば、避難元に戻りたいと考えられているでしょう。津波被害や原子力発電所事故によって元の地域では自治体としての機能が大幅に失われていたとしても、生まれ育った地域の復旧・復興に期待をかけて避難所や仮設住宅で暮らす方の声を多く聞きます。

 こうした思いに対し、被災自治体も住民の避難先への自治体広報誌の配布を行っています。自治体広報誌は個別のサービス情報にとどまらず、地域としての自治体の状況や、今後の自治体に向けての思いが、長の言葉、行政各部局からの情報、取材された地域の人々の言葉から示されています。福島市の市政だより「ふくしま」は4月緊急版を発行し、市長の「福島市の復興に向けて」という文章を掲載しています。また、8月号では特集「放射能からふるさと『福島』を守れ!」で「くだもの王国ふくしま」を守ろうとする取り組みを紹介しています。地域外に避難された皆さんも、こうした情報に心強さを感じられるのではないでしょうか。

 一方で、自治体広報誌だけでは、十分な情報は提供できません。広報誌は多くても月に2回程度の発行です。福島県では大震災のため4月以降の発行が困難になり、8月号が大震災後最初の広報誌発行となりました。

 こうした課題に対し、福島県は、一定規模以上の避難所などには福島県の地方紙である福島民報、福島民友を配布しています。普段から身近な地方紙が届くことでの安心や、地域の情報入手は避難された方にとって意義を持つと考えます。個々に避難された方などへの対応として県外自治体でも公立図書館に福島民報・福島民友が配架されるように手配もしています。あわせて、県予算によって福島民報、福島民友に県からのお知らせ欄を掲載しています。新聞やテレビなどでは、自治体として継続的に発信したい、常に参照してほしい情報でも、ほとんどの場合、一度しか報道されません。自治体として情報を周知するための手だてとして有効であると考えます。

 地方紙など地域メディアの皆さんは、震災の中でも購読者に、市民に、情報を伝えたいと、力の限りに、時には危険を冒しながらも取材を行っています。例えば、石巻日々新聞が印刷機を失ったなか壁新聞を制作し、6号にわたって避難所などに貼りだしたことは大きく伝えられました。しかし、地方紙の購読範囲が一定の地域内に限定されているのであれば、それらの情報も地域外に避難した人々には伝えることができません。

 自治体行政だけでは、地域メディアだけでは、必要としている人々に情報を届けられないときに、自治体行政と地域メディアが連携すること。自治体地域内での連携を超えて、地域外への広報について連携を活用することの意味が現れていると考えます。

 地域メディアを地方紙に限定できないことも当然です。コミュニティFMに代表される他の地域メディアの取り組みや自治体行政との連携については十分に紹介できませんが、災害時に有効であるラジオがどのような意義を持つかは多く語られているところです。

 あわせて、地域で行政とともに公共を支えているNPOによる地域外への情報流通も重視する必要があります。行政では対応できない、より細かいニーズや思いに関わることができるNPOが、どのように避難者に対し情報を提供できるのか。福島市では震災後に、ふくしまNPO・市民活動団体プロジェクト(ふくふくプロジェクト)が立ち上がり、情報センター機能を果たそうとしています。今後、自治体行政や地域メディアとの的確な連携により有意義な情報が地域外の避難者へも発信されることを期待します。

 ここまで、紙媒体を中心として、災害時に地域外に避難した方への広報を考えてきました。これらは、インターネットを活用することによって対応はできないでしょうか。確かに光回線やWIFIなどのネットワークやパソコンなどの閲覧機器が十分に確保されている状況であり、かつ日常的にインターネットを利用している人々にとっては、広報誌や新聞よりもタイムリーに情報が確保でき、それぞれのニーズにあった情報入手が可能となります。

 とはいえ、インターネットを縦横に活用できる環境にある避難者ばかりではありません。むしろ、当初の避難所ではそうした状況にあった避難者は多くなかったと考えられます。また、今回の大震災では高齢の方の避難も多く、必ずしも日常的にインターネットを活用していた方ばかりではなかったと考えられます。そうした意味で、紙媒体を主とした連携は小さくない意味を持っていると考えます。

 もちろん、インターネットによる情報発信が無意味であるとは考えられません。震災は人々を同様に襲うわけではありません。むしろ被災とは日常以上に個別的な経験だとも考えられます。自治体広報誌や新聞記事などは、そうした個別的な状況や思いに対応するには十分ではありません。市民を「みんな」として考えるのがそうしたメディアであると言うこともできるでしょう。さらに、同じ被災という言葉を用いても時間の経過は被災の現状を刻々と変えていきます。それらを考えたときに、地域外に避難した人々にインターネットを活用した情報提供がどのように有効なのかを考えることは必要です。

  1. 2011/12/01(木) 10:34:37|
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