河井孝仁のシティプロモーション日記とか

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地域政策ブランドという発想-シティプロモーションに寄せて- 『広報会議』2010年8月号

 私は2009年12月に『シティプロモーション 地域の魅力を創るしごと』(東京法令出版)を出版しました。そこで、シティプロモーションを「地域を持続的に発展させるために、地域の魅力を地域内外に効果的に訴求し、それにより、人材、物財、資金、情報などの資源を地域内部で活用可能としていくこと」と定義しました。

 「地域の魅力」には、どのようなものがあるでしょうか。地域に根づいた特色ある料理や、最近注目されているB級グルメ。美しい風景や観光地。大規模なコンベンションを開催できる施設。歴史を背景にしたお祭り、あるいは住む人のホスピタリティなど、多くのモノやコト、さらにヒトがあげられます。

 それぞれの地域に多様な魅力があり、それらをつなぎ合わせ、的確に組み合わせて新たな価値を生み出す、つまり編集という作業を行うことによって築いた地域のイメージを、地域の内外に訴求し、地域の持続的発展に必要な資源を獲得することがシティプロモーションになります。

 そうした地域の魅力の一つに、自治体の「政策方式」というものがある、そうまとめることのできる考え方を大阪商業大学総合経営学部の初谷勇教授が提示されています。

 初谷教授は2010年6月に行われた日本公共政策学会で「地域ブランドとしての『政策方式』-その意義と課題」という発表を行いました。そこでは地域名を冠して○○方式と呼ばれるような革新的で独自な政策に注目しています。例えば京都市では、地域の学校を運営するに際し「学校運営協議会」を積極的に設置しつつ校長の裁量権を尊重する政策を、自ら広報紙で「京都方式」と呼んでいます。

 初谷教授は、こうした地域名を冠した政策方式を「地域冠政策方式」と呼び、それは地域政策ブランドとして考えることができると指摘しています。そのうえで「京都方式」を調査し、ブランドとしての差別的優位性・模倣困難性を持つこと、ブランド効果として「公立校でもある校区・学区ブランドを高めていくことは、住まいを選ぶ選択基準になっている」などの聞き取りを得たことを紹介しています。また、当初は「京都方式」が、学校運営協議会活用という個別ブランドであったものが、京都市の教育政策全体に及ぶ事業ブランドに拡張していくというブランド管理についても述べられています。

 シティプロモーションという視点から再確認すれば、自治体が地域課題の解決のために取り組む政策も意識的にブランド化を図ることで、地域の魅力の一つとなり、シティプロモーションに向けての編集素材になると考えられるでしょう。言葉を変えれば、地域冠政策方式を地域での個別ブランドとして構築し、他の個別ブランドとの的確な組合せをおこなうことで、「地域イメージ」の訴求が可能になり、地域内外からの資源獲得をめざすシティプロモーションへの重要な支援になると言うこともできます。

 例えば、いささか突飛に感じられるかもしれませんが、教育政策としての京都方式とブランドとしての京野菜を的確に組み合わせることで、京都の地域イメージを構築させることも可能になるのではないでしょうか。

 教育施策の京都方式を「地域それぞれの自発性の尊重に支えられつつ、校長のリーダーシップを支援する」政策としてイメージを構築し、一方で、京野菜を「地場の環境・歴史を踏まえ、生産者のこだわりの農法による生産された」野菜としてのイメージを明確化します。これらを他の個別ブランドとも組合せつつ、京都市の都市イメージを「他のどこにもない、地域の環境や歴史を踏まえ、自らに誇りを持って進む地域」としてのイメージ訴求を図ることも考えられると思います。さらに、このイメージ訴求が可能になれば、個別ブランド化には至らない多様な個々の魅力も、「他のどこにもない、地域の環境や歴史を踏まえ、自らに誇りを持って進む地域」というイメージに裏打ちされ、個々には困難であった強い訴求力を持つことになります。

 実際には、京のブランド産品としての「ブランド京野菜」は京都市ではなく京都府が認証しているものであり、上記の組み合わせ・編集には課題もあります。しかし、シティプロモーションとは足し算としての魅力の寄せ集めではない、掛け算から可能になる地域イメージの確立が必要であるとの考え方は、理解していただけると思います。

 ここで、視点を変えてみます。「政策」という言葉についてです。私は『地域メディアが地域を変える』(日本経済評論社 2009)という共著書で、政策という言葉を、政治の策・行政の策という意味ではなく、「地域の課題を解決する方策の束」として考えました。

 これは、地域の課題を解決する主体が行政だけではなく、地域経営の主権者としての市民、その代理人としてのNPO、企業、それに加えて行政があるとの思考からです。これらのステークホルダーが個々に、あるいは連携、協働して行う地域課題解決の方策が一定の志向のもとに集約されたものを政策として考えたいと思います。

 そのように考えることで、地域における政策は地域イメージを築く力を強く持つと考えます。地域とは多彩な当事者が関わりつつ営まれるものです。行政が行う地域冠政策方式も、そこに市民、NPO、企業が存在することで地域としてのイメージを創りだすことができます。

 しかし、多様な主体から発信される声がそのまま訴求する対象に届くのであれば、イメージは散乱することになります。地域冠政策方式であっても、すべての当事者が同じ認識を持つのではなく、そこへの意見はさまざまだと考えます。その時に必要になるのが、政策を集約するとともに、発し手だけではなく受け手の意見も含めたソーシャルな場も備えたプラットフォームだと考えます。

 具体的には「浜松市子育て情報サイトぴっぴ」を挙げることができます。浜松市子育て情報サイトぴっぴは、NPO法人の「はままつ子育てネットワークぴっぴ」が運営しているWebサイトです。静岡県浜松市の子育て施策を集約しつつ、単なる一覧化に終わらず、利用者の立場に立った編集を行っています。行政の施策だけではなく、子育てに関わる民間施策も幅広く網羅しているものです。あわせて、施策の一覧にとどまらず、「子連れでおでかけ」「子育てのヒント」「父さんたちの子育て日記」などのブログサイトも用意されています。「先輩ママのアドバイス」というコラムが、的確に挟み込まれることで、利用者の、いわば水先案内を行う工夫も凝らされています。

 こうした施策紹介サイトは、ユーザビリティへの注目や情報の豊富さなどへの分析は行われてきました。しかし、初谷教授が提起された地域ブランドとしての政策方式という発想に関わって考えれば、こうしたWebサイトがシティプロモーションにどのような意味を持っているかを検討すべき時期になったと考えられます。地域ブランドとしての地域政策。興味深い指摘だと考えます。
  1. 2010/12/30(木) 19:00:01|
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