河井孝仁のシティプロモーション日記とか

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地域の魅力を創り、発信する-住めば愉快だ宇都宮(2) 『広報会議』2010年6月号

(今、確認すると5月号が「である」体にもかかわらず、6月号から「ですます」体になっているのはお恥ずかしい限り)

 前号に引き続き、宇都宮市が進めるシティプロモーション・プロジェクト「宇都宮プライド」について考えていきます。今回はそのなかでも、市民の参画に焦点を当てて検討したいと思います。宇都宮市はさまざまな形で市民の参画を進めつつ「住めば愉快だ宇都宮」を構築していこうとしています。

 例えば「宇都宮愉快写真展 愉快モデル」の募集があります。アンテナショップ「宮カフェ」のあるオリオン通りに掲げられたフラッグの一枚一枚には、応募した市民が宇都宮の「魅力や好きなところ」を書いたボードを持ち、それぞれに笑顔とともに翻っています。

 また、アンテナショップと同じ名称であるウェブサイト「宮カフェ」には「みんなの宇都宮ブログ」があります。ここでは市民のブログを集積するという形ではなく、例えば「あげて嬉しい!もらって嬉しい!宇都宮のお土産」というお題を提示し、そのお題に市民からのコメントを募集しています。

 これらに加えて注目したいものに「宇都宮プライド創造ボランティア」があります。2009年の5月に募集された宇都宮プライド創造ボランティアは「住めば愉快だ宇都宮」に結実したブランド・メッセージの作成に大きな役割を果たしました。6月20日に行われたキックオフ・プライドカフェでは、活発な意見交換を可能にするワールドカフェの手法が用いられました。

 ワールドカフェでは「宇都宮の魅力や自慢したいことは何でしょう?場所など目に見えることでも、人々の気質など目に見えないことでもかまいません」「100年後の未来の宇都宮に住んでいる子孫や人々が誇りに思える宇都宮ならではの価値があるとしたらどんなものでしょう」「宇都宮プライドからどんなことが生まれていったら嬉しいと思いますか。また自分でやってみたいと思っていることがありますか?」これらについて議論し、意見の共有や発見が行われました。

 宇都宮プライド創造ボランティアは、その後も、地域の魅力を発見する「地元学」、宇都宮プライドの認知を進める「出前プライドカフェ」などの活動に加え、宇都宮プライドの進展を紙媒体として発信する「宇都宮プライドレポート」の発行などを進めました。

 宇都宮での、こうした活動に見られる市民の参画とはシティプロモーションにとってどのような意義を持つと考
えられるでしょうか。

 市民がシティプロモーションに積極的に関わることは必要であり、望ましいことです。シティプロモーションは地域経営における様々な課題を解決するための手段であり、市民は地域経営の主権者であることを考えれば当然の回答です。それに加えて、市民がシティプロモーションに参画することの意義は、シティプロモーションの評価に関わります。

 シティプロモーションを評価するための考え方として、私は4つの視点があると考えています。財務の視点、顧客の視点、協働の視点、成長の視点の4つです。

 財務の視点とは費用対効果の考え方です。シティプロモーションに税金が使われるのであれば、納税者としての市民が、そのコスト・ベネフィットを的確に判断できるようにしなくてはなりません。市民による参画は、施策の「見える化」にとって大きな役割を果たします。

 顧客の視点とは顧客の満足度向上がどの程度に果たされたのかという評価です。シティプロモーションという言葉は地域外からの観光客を呼ぶことと同じ意味ではありません。地域内外に地域の魅力を訴求することで資源獲得を行うことが必要です。その意味では市民もまた顧客です。参画することで地域への愛着を持ち、満足度が向上する。そのようなシティプロモーション施策が必要です。

 協働の視点とは、連携が十分に果たされたかという評価です。行政だけでは、あるいはNPOだけ、企業・事業者だけでは十分なシティプロモーションは困難です。行政のもつ一般的代表性に由縁する信頼や、NPOが可能とする現場での力の発揮、企業・事業者が得意とするマーケティングの発想。これらが連携することでシティプロモーションは成功に近づきます。市民は多様な属性を持っています。行政にもNPOにも企業にも関与することができます。個人としての市民の参画に見える施策においても、その市民の背景を考慮すれば、市民参画を連携のきっかけにつなげることが可能です。

 最後に残った成長の視点。私は、この評価の視点が市民の参画に最も関係すると考えます。シティプロモーションの目的は、地域が持続的に発展し、地域に生きる人々に幸せがもたらされることです。では、持続的に発展するために必要なこととは何でしょうか。それは「人」です。地域を多様な形で担う人が次々と生まれ、成長する。それによって地域の持続的な発展が可能となります。

 「知」がどのように築かれるのかを考察した思考に、野口郁次郎氏のSECI 理論というものがあります。そこでは、まず、市民がそれぞれに持っている「言葉にならない知恵=暗黙知」が現場での協働作業によってつながります。次に、そのつながった暗黙知を、言葉や文書にし、「定着した知恵=形式知」として明らかにすることが求められます。さらに、それらの定着した知恵としての言葉や文書を編集し、連結させることで「戦略」がつくられます。そのうえで、あらためて、市民それぞれが戦略を踏まえつつ、言葉にならない知恵を現場において紡ぎだし、課題解決を図っていく…という螺旋構造が示されています。

 この螺旋が十分に回転し、高みにのぼっていくことが、地域を担う人の成長であり、地域の持続的発展をもたらすことになります。

 であれば、市民の参画とはお仕着せの場所に招かれ、その場限りの意見表明をもってよしとするものではないはずです。シティプロモーションの現場に市民が集い、それまでは十分に言葉にならなかった、それぞれの思い、知恵が現場でつながり、言葉となる。さらに、市民のイニシアティブを大事にして戦略が構築される。その戦略を基礎にして市民がシティプロモーション施策の現場を担っていく。そうしたことが行われているか、行われる現場(オンラインを含め)が存在するのか、それが評価の基準になります。

 「宇都宮プライド創造ボランティア」という仕掛けが、そうした評価に耐えるものであるか、今後も見守っていきたいと思います。
  1. 2010/12/30(木) 18:42:20|
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河井孝仁

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