河井孝仁のシティプロモーション日記とか

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地域情報への信頼性埋め込み手法の考察

日本社会情報学会第9回大会での発表(10/2)概要です。所収しておきます。

地域情報への信頼性埋め込み手法の考察

1. 研究目的  
本研究は災害に関する地域情報を分析素材とし,その成果を地域のガバナンスを支える「地域情報」への信頼埋め込みに援用することを目的とする.
災害に関する地域情報は広汎な情報利用者が活用しうる多様性と確実な対応を可能とする信頼性の二重の条件を満たす必要がある.

地域情報への信頼性埋め込み手法の考察

1. 研究目的  
本研究は災害に関する地域情報を分析素材とし,その成果を地域のガバナンスを支える「地域情報」への信頼埋め込みに援用することを目的とする.
災害に関する地域情報は広汎な情報利用者が活用しうる多様性と確実な対応を可能とする信頼性の二重の条件を満たす必要がある.
この条件は必ずしも「災害情報」に限定されるものではなく広く地域情報に通ずるものであるが,本論では上記2条件を厳しく要求される災害関連情報について分析することで,地域情報一般に適用可能な「多様で広汎であり信頼性が埋め込まれた情報提供のあり方」について検討を行う.
なお,災害情報は迅速性も重要な条件だが本論では地域情報への援用を到達点とするため迅速性の分析は行わない.
2. .現況/関連情報
災害に関わる情報について,Web掲載情報を対象に提供主体に注目して区分すれば,「市民等による提供情報」「行政提供情報」「マスコミ報道」の3種がある.
本節では,上記のうち「市民等による提供情報」「行政提供情報」の2区分の情報について具体例を提示し,あわせて現況におけるそれぞれの課題を確認する.
なお,マスコミ報道については情報の選択性が強く,広汎な情報手段となることに限界がある点を指摘するにとどめる.
2.1. 市民等による提供情報
市民等による提供情報例として三宅島噴火に関わって開設された「島魂」掲示板をあげる.http://www.miyakejima.net/php/bbs/ 「島魂」Webサイトは2000年6月の噴火に伴って開設された.
トップページ以下に「掲示板」,子ども向けの「みやけじま・きっず」,「避難所日記」,「写真集」及び「リンク集」など多様な情報がある.
いずれも貴重な内容が含まれ,噴火当時の状況など現在でも迫真感をもって受けとめられる.
しかし,現時点で「島魂」掲示板についてはいくつかの課題が指摘しうる.
本報告のため「島魂」掲示板を調査した2004年8月13日は,2005年2月の「全島避難指示」解除に向け適切な情報が必要となる時期である.
しかし,7月20日の上記解除方針発表から調査日までの間の投稿は4本に過ぎず,そのうち1本は三宅島とは関係のない講演会告知である.その他投稿は,帰島方針を祝うものや一定の不安を述べるもの,唐突な写真撮影の希望が書かれているものであった.
帰島への不安を述べる記事は,「帰島を迷っている人もいる」と具体的表現もあるが,その信頼性について確認はもとより,この記事を見ている限りは推認する方法もない.
「島魂」掲示板の管理不十分については,利用者からも複数回の指摘が行われ,一定の自動安定化装置が働いたが,管理者による目に見える対応がとられた様子はない.こうした十分に管理されていない状況で先に述べた常に内包している「信頼性」に関わる課題が露呈していると考えられる.
2.2. 行政提供情報
行政による災害情報は,2004年7月13日新潟県豪雨災害の新潟県三条市Webページを素材とする.http://www.city.sanjo.niigata.jp/suigai/suigai.html 三条市Webページでは広汎な情報を掲載している.被災者支援情報をはじめとして,ライフライン情報や県からの情報など市以外の情報も積極的に掲載しワンストップ化がされている点も評価できる.
一方で,避難情報や被害状況などについては数値が並べられているにとどまり,かつ過去に掲載した情報が上書きされてしまっている.これは行政として公平に遍く情報を周知させるという姿勢であるものの,具体的情報はほとんど掲載されていないことを意味する.
ただし,「市内の様子」とタイトルされた情報では写真が多く利用され,一般的な特定は難しいものの,住民であれば位置確定も可能な具体的情報が掲載されていることは後段に述べる信頼埋め込みにとっても重要なデザインであろう.
なお,三条市は4つの市民電子会議室を設けているが水害に係る会議室はない.
2.3. 静岡県災害情報支援システム研究会
市民提供情報の信頼性確保の困難及び行政提供情報に見る個別情報の不十分さを克服する方法として,静岡県災害情報支援システム研究会が開設するtoukaijishin.netの取り組みがある.
toukaijishin.netは行政関与のWebサイトであることを公にし,実際のサイト運営は民間委員が多い研究会が行い,市民やボランティア団体が情報提供する,いわば「公設民営」のWebサイトである.公設の信頼性と民営であることの個別性,多様性を両立させようとする試みであり注目できる.
3. 研究の概要
本節では情報提供の運営形態による解決にとどまらず,情報そのものに多様性・広汎性を与えつつ信頼性を埋め込む可能性について検討する.
3.1. ケータイ活用による信頼埋め込み
はじめに,携帯電話やPHS(以下,ケータイ)による情報提供に注目する.
従来,市民等によるWebサイトへの提供情報の多くは,パソコンを利用して掲示板サイトへ投稿することで行われていたと考えられる.
しかし,ケータイをめぐる外部環境及び端末の革新,さらにWebサイト側の変化が,ケータイによる情報提供を促進するとともに,本研究の主題でもある情報への信頼埋め込みにも重要な役割を果たすと考える.
外部環境について確認する,
2000年7月末,インターネット接続可能な携帯電話端末は71.522.800.PHSを加えれば人口普及率60%の,極めて身近な端末である.
次に,ケータイ各社が提供するパケット通信定額制を挙げる.従量制ではパケット代負担により,的確最小限な情報提供が強いられたが,定額制では多様性を含む冗長な情報提供も金銭負担からは自由となった.さらに定額制は端末の革新によるリッチな情報提供の促進にもつながる.
端末について分析する.
現在,ケータイの多くはカメラを搭載し,動画撮影を行えるものもある.位置情報の取得も以前からアンテナ位置による推測が可能だったが,詳細位置が確認できるGPS付きケータイも現れている.
写真や動画を付した投稿が情報量,信頼感付与に意義があることは先に見た三条市のWebページからも明らかだろう.パケット定額制は画像等の大きな情報送受信にストレスを与えない.
位置情報についても,「今,ここにいる」ことを明示した情報は,より信頼を与えうる.また情報受信についても,ケータイのもつ位置情報等を利用した「ある地域に入ったことを銃爪とする」情報提供.ネットワークコミュニティ招待は,ボーダフォン?が提供するステーション機能や小田急グーパスで実用化されている.
また,情報提供主体への信頼性付与につながる端末技術として端末認証は既に可能であり,利用者の生体認証も視野に入っている.
Webサイト側の変化を見る.
三重県では電子会議室の一つとしてケータイ利用を前提とした「e-デモジュニア」を開設するなど公共活用も行われ,今までのケータイコミュニティにあった「出会い系サイト」という印象の変化もある.さらに大きなWebサイトの変化として,Movalogがある.ケータイからも容易に投稿可能なブログはケータイによる画像等も付加した情報提供の敷居を極めて低くしている.
3.2. 情報発信者の「評判」醸成
次に,情報の「評判」醸成を行うことにより信頼を埋め込む方法について考察する.
例えば,島魂掲示板で紹介した「帰島への不安を述べる」記事について,その投稿者名により過去の掲示板を検索すると10本の投稿があり,いずれも真摯な内容となっている.
この投稿者名が「成りすまし」によって騙られていなければ,7月の投稿にある「身近に不安を持っている人もいる」との内容にも一定の信頼性があると評価可能であろう.
こうした手法を情報デザインとしても洗練させ,利用しやすくすること,つまり平時から多様な民間情報の提供,評価を促すシステムを「ベッド」として用意することで,情報(発信者)の「評判」醸成を図ることが今後の課題となる.
情報発信者や情報そのものへのポイント制を採用した取り組みとして「Yahoo!オークション」の「評価」や「All About Japan」の記事アクセス数に基づくポイントなど多様な取り組みがある.行政でも藤沢市市民電子会議室での「拍手・納得・疑問」のポイント付与などがある.
別の面からの接近としては,既に述べた「All About Japan」情報案内人のプロフィール紹介や,「関心空間」に見られる「情報の関連性を意識した新しい情報取得手段を確立」するという実践も「信頼性」に関わる.
これらは,一見,リニアな評点に見えるポイント制を含め「柔らかな評価システム」として定義できる.あらかじめ「信頼できる,信頼できない」という二分法によって定められ,それに従うという情報利用ではなく,その時々の自らのリスクテイクの度合いによって評価し,濃淡ある信頼性を持つ情報を適宜,取捨選択するという情報利用である.SNS(Social Network Service)も関連性を指摘しうる.SNSが単なる「友だちづくり」ではなく,評価に密接に関わることは当然である.
3.3. 自動リンクの可能性
もう一点,情報への信頼埋め込みに関してはWebという条件を活かしたリンクの利用がある.例えば,「島魂」のトップページには適時な情報があるが,掲示板投稿とのリンク等の関係がなく,トップページの情報により掲示板の情報が裏打ちされない.
この点については,「はてなダイアリー」が提供する「はてなダイアリーキーワード自動リンクAPI」など重要な先行例もあり,今後の活用が期待できる.
4. 今後の展望
以上,災害時に関連した情報を中心にしながら,地域情報への信頼性埋め込みについて分析を行った.本論では可能性を示すにとどまる部分も多いが,今後,具体的なフィールドにより適用可能性について研究を進めていく.

  1. 2004/10/14(木) 14:53:40|
  2. 書きモノ|
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