河井孝仁のシティプロモーション日記とか

ボローニャ2日目

ボローニャ2日目
ヒアリングは午後からなので、午前は、井上ひさし『ボローニャ紀行』でも触れられていたホームレスによる協同組合があるピアッツァ・グランデに向かう。
しかし、それらしきものはなく、最近建築されたような美しい集合住宅が並んでいる。奥の方に落書きだらけの建築物はあるのだが。
1階テナントはほとんど空室なんだが大丈夫なんだろうか。
さらにその外側の住宅地は落ち着いて美しい。

集合住宅前の広場でしばらく休んだあと、市内中心部のサント・ステファノ教会群へ。
7つもの教会が入り込みながら建っている変わった建物。
黒い服をつけている方は、司祭なのかな?

ホテルに一旦戻り、午後のヒアリング前に、通訳の青山愛さんと打ち合わせ。この青山さんはボローニャ絡みの著作を読むと必ずと言っていいほど謝辞が出てくる大物。
青山さんによれば、井上ひさしさんの著作が出版された2004年ぐらいとは変化が大きい。特に移民が増えていることが変化をもたらしているとのこと。
ホームレスも移民がとても増え、当時のピアッツァ・グランデは場所としてはほぼ残っていないとのことだった。
私としても創造都市が話題になっていた2005-2009ぐらいには、日本でのボローニャについての紹介が積極的に行われていたが、いまはあまり言及されないことなどに関心をもってのヒアリングでもあり、興味が高まる。

19日のヒアリングは市役所ではなく、ボローニャ・ウェルカムという、市役所からの委託により、シティ・ブランディングをミッションとしている組織。
ボローニャも過去との比較では経済的に必ずしも順調ではない時期を経過して、数年前から観光に積極的になり、観光客・滞在日数も大幅に増えているとのこと。
積極的な文化イベントは確かに目につく。必ずしも行政による資金提供だけでなく、銀行を基礎とする財団の力も大きい。
始めた頃は、観光地としてのボローニャには認知がなかったが、ボローニャ・ウェルカムの働きもあり、目的を持っての観光になってきているとのこと。

しかし、ボローニャはフィレンツェやベネチアとは違い、観光地としてのまちではなく、リアルなイタリアがあるまちとしての提起を行なっているので、観光客が増えすぎるのも痛し痒し。
文化イベント、モータースポーツ、美食に加え、「新しい体験」としてボローニャそのものではなく周辺都市を含むメトロポリタンとしての魅力の訴求により、観光客を増やしつつ分散することを狙っているとのこと。

とはいえ、単独目的で来訪した観光客に、ボローニャの総合性を理解してもらうという取り組みはヒアリングでは必ずしも明確ではなかった。
しかし、ボローニャ・イというブランドメッセージ?の展開は、前記4つの魅力を基礎とした4つのロゴにより支えられているので、可能性としてはあるのだろう。
&tokyo に似ているなという嫌な予感もあるが。

ヒアリングを受けてくれた方は、当時のボローニャ2000の中心人物だった重鎮ロベルト・グランディ教授と、若い担当者のアラタ氏。
グランディ教授は、ボローニャ2000が実現しようとした文化をアイデンティティとするまちの創造は、実現目前で右派への政権交替で10年から15年遅れたが、今は形になってきたのではないか。しかし、この空白は何だったかと述べられていた。
私の最重要なアジェンダである、そうした取り組みによって、市民によるまちを語ることへの刺激や、推奨意欲・参画意欲の増大については、ヒア前半ではなかなかピンとくる答えが得られなかった。

これは、ボローニャウェルカムのミッションから、彼らの言うシティブランディングが専ら外に向けての観光的色彩が強いから、そして通訳の青山さんにも私の問題意識が、十分に共有されていなかったからだろう。
しかし、ヒアも最後になって、
まちを作る重要な存在である学生を中心とした若者が、文化に触れる機会を増やすことで、文化を担う存在として重要な役割を認識することを期待し、人材養成にも心がけていることや、
ボローニャウェルカムも、市役所からのパッケージとしての事業受託において、4年ごとにコンペにより事業獲得をしていかなければならない立場だが、他のコンペティターが観光に特化した提案であるのに対し、ボローニャウェルカムのものは「まちを変える」ことを重要なものとした提案であることによる差別化ができている
との言葉は、私の問題意識に叶ったものだったと考える。

しかし一方で、ここ2日間だけだがまちをずいぶん歩いたなかで気づく、放置されたゴミの多さ、落書きの多さ、煙草の投げ捨て、そこかしこに目立つ道のヒビ割れや建物の損傷などは、市民やまちに関わる人が、自らの問題としてまちを良くしたい、まちを推奨したいという意識を持っているのかについては疑問も生じさせる。

もちろん、道路や建物の状況は、それこそが数百年の歴史を物語るものだと言うことなのだろうが、歴史の厚さを語るまちの各所に貼られている楕円の徽章が単なる紹介に終わり、市民のプライド、そこからの参画意欲を高めるツールとして機能しているかに不安もある。

このあたり、明日の市役所ヒアで解決できれば嬉しい。
夕飯に、やっとイタリアらしくピザを購入し、ホテルで、買ってきた安価な地元産のスパークリングワインと愉しむ。
  1. 2017/06/20(火) 23:49:32|
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河井孝仁

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自著(単著・共編著・執筆分担)

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